メイドさん

自分の人生においてメイドに世話をしてもらえる日が来るなどついぞ思わなかったが、発展途上国の駐在員とは得てしてそういうものらしい。メイドを雇う理由は多々あるが、つまるところ駐在員の拘束時間が長いので生活がまわらなくなるのを防ぐのが目的だ。

メイド(ハウスキーパー)には男も多い。こちらはボーイと言う。現在3区画の管理を任されているが、1区画をボーイ、2区画をメイドにそれぞれ任せている。メイドに世話をされるというのはなかなか良い響きであるが、現実にはこちらが忙しいので会うことはない。感覚的には毎日ホテルに帰っているようなものだ。「エマ」や「シャーリー」に描かれている生活を想像していた人間としてはあまりにも味気なさすぎる。

ところで、うちのメイドはコック(女性)とすこぶる仲が悪い。お互いがお互いの悪口を私に月1回まとめて報告してくる。一時期毎日ひっきりなしに電話がかかってきたので、まとめて言うか仲良くしろと指示した結果、本当に月1回まとめて報告してくるようになった。これが夢に見たメイドにお世話されるということなのか。私が思っていたメイドとはそういうのではない。そういうのではないのだ。